ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

2年ぶり

2年振りにブログを更新してみます。 本当はこのまま捨て置いても構わないような気持ちになっていました。過去の自分の履歴を残して置くだけのところとして、冷蔵庫の奥にひっそりと待っているプリンのようなものです。 食べる気は正直ないんですが、そこにあ…

嵇康集校注

長い間、欲しいと思っていた。1962年に出版されたまま、そのまま絶版になってしまった本だ。 ずっと追い求めていたわけではないが、折に触れて、また手にとってみたいと思っていた。 ネットを逍遥するうちに、久しぶりに東方書店という、中華書籍を扱う書店…

ロアルド・ダールのボックスセット

シドニーで知り合った小学校1年生の部屋にあった。日本に帰って来て早速買い込んで読んでいる。 これがとても面白いのだが、語学の世界の奥深さを感じる。この語彙が小学1年生なんだと思うと暗澹となる。 端から順に読んでいる。半分、読んだ。そう考える…

三島由紀夫の全集が欲しい

残りの人生を、この文章を読むことに費やすっていうのは、どうかな。いや、なんていうのかな、自分とは無縁だと思っていた人と知り合って、知り合ったらとっても面白い人だということが分かって。 折角だから、もっと徹底的に知り合いたいって思っている。今…

『豊饒の海』三島由紀夫を読んでいる

随分昔に読んだ三島由紀夫の遺作を読み返している。もう30年ぶりくらいに読み直して、驚いてる。こんなに面白かったんだという感じだ。 幼い頃に打ちのめされたその文章のペダンティックな側面にはもうやられない。それくらいには俺は年老いている。言うま…

それからの『豊穣の海』

結局、図書館で借りて『豊穣の海』は「春の雪」を読み始めた。読み始めてまだ数十ページだけれど、ここまでの感想を述べる。 白状すると、俺は三島由紀夫の小説はあまり読んだことがない。『小説家の休暇』を始めとして、その評論は随分と読んで、感銘を受け…

豊穣の海

三島由紀夫の『豊穣の海』が読みたくなった。折角だから本字の歴史的仮名遣いで読みたいと思った。となるとおそらくは全集を手に入れるのが最も手っ取り早いのではないか。 だからと言って、6000円以上する本を、ほいほいと買い込むだけの余裕はない。か…

夏五月

ある時、それはまだ俺が池袋の下宿でぼやぼやしていた頃の話だ。当時付き合っていた人は、歴史の勉強をしている大学生で、ちょっとエキセントリックな言動が可愛い、腰の細い女の子だった。 ある時、俺の6畳一間、風呂なし、トイレ共同の部屋の、薄っぺらい…

真崎・守

少年時代に出会って、その後の俺のメンタリティに大きな影響を与えた作家のひとりに、真崎・守がいる。 最初に読んだのはおそらく『ジロがゆく』だったろうと思う。いや、『はみ出し野郎の伝説』だったろうか。とにかく、小学館の漫画文庫に収められていたそ…

こくう物語

息をつめるような思いで、毎月毎月雑誌を買うという経験をしなくなって久しい。ある時期の『宝島』や『ガロ』がそうだった。そのことは以前、ここで書いたことがある。 その『ガロ』に連載されていたのが『こくう物語』という鈴木翁二の作品だ。ちょっと前に…

シンプル・ライフ

メイウェザーとパッキャオの試合前に、うかうかと乗せられてWOWOWの契約をした。そのまま解除するのも面倒なので、契約したままにしていた。 壊れたと思っていた外付けHDDが、別に壊れていたわけではなく、どうやらタップの方が調子が悪かっただけだったよう…

ラーメン食いてぇ!

旧聞に属する話だ。昨年ネットで配信されたこの物語を読んで涙した。紙ベースで読みたいと思ったのは、家族で共有したいと思ったからだ。 読み終わるのを待って、次に回されてこそのマンガだと思っている。教室で、キャンプ場のテントの中でも、読んでいる奴…

分厚い本

そんなわけで、何日か前から「積読」状態だった『定本 久生十蘭全集』を読み始めている。 「ノンシャラン道中記」から始まる1巻だ。「ノンシャラン道中記」はコン吉とタヌ子とあだ名される二人の日本人(音楽と絵画の留学生だ)がフランスからスイスまで、…

プルースト

古本屋で『失われた時を求めて』の(1)と(2)が、各510円で売っていた。年若い友人にメールを送る。 「君さ、以前プルースト読んでるって言ってたよね。読み終えたの?」 「うん、もう10年以上前だけどね」 購入。 ポツリポツリと読み始める。 読み…

集中するということ

集中力がない自分を「分散力がある」という形で肯定的に捉えようという糸井重里の提言を受けてこれまでやり過ごしてきたが、さすがに50歳の坂を越えると、残り時間も気になり始める。 目が覚めて、黄金色に輝く午前の光も昼飯の皿を洗い終わる頃には、とぼっ…

谷間の百合

誰のどの本棚を見ても、この『谷間の百合』が並んでいた。 学校の図書館にもあったし、友人の本棚にも、友人の親の本棚にもあった。 古典であることは間違いない。間違いないがしかし、こんな本を滅多矢鱈に人に勧めてはいかんのではないか。下手な官能小説…

石坂洋次郎が読みたい

時々狂おしいほどの衝動に囚われて、石坂洋次郎の『石中先生行状記』が読みたくなることがある。バカバカしいほど単純で真っ直ぐで、甘くエロティックで。猫背になっている俺の姿勢を、木槌でコツコツと正してくれるような小説だ。 ずっと昔にオヤジの本棚に…

重力の虹

国書刊行会で訳出されたピンチョンの『重力の虹』の1巻を買ったのは、(奥付を見ると)1993年だ。おお…恐ろしいことだ。 そのまま読まずに、今日まで来た。あの日、生まれた子が成人したのだ。 論理的には、いや、物理的にも客観的にもそういうことにな…

待て、しかして希望せよ

以前のこの記事からおよそひと月余りを経て、『モンテ・クリスト伯』を読了した。 『誰がために鐘は鳴る』を読んだ俺には(まだ)なれていないが、『モンテ・クリスト伯』を読んだ俺には、なった。なってやはりなんというか、得したような気分になった。ある…

父の本棚

その頃には意味の分からなかったことが、後になってすうっと筋道が通る。大抵の場合、悲しいかな、その時にはあらゆる側面から後の祭りである。ではあるが、その筋の通り具合に「なるほどね」とひとりごちる。 先日、七回忌を済ませた父の本棚には、例えば宇…

言葉が水

前回の続きだ。そして考えた。俺にとっての「水」は「言葉」ではないか。この不定形で不確実でとらえどころのないもの。 小学校の頃、学級委員とかをしていた。何故か分からない。お調子者だったからおだてられて引き受けたのだろう。そして学級会の司会など…

そうだ石川淳を読もう

昨日の話の補遺として…。 『狂風記』を読んだのは大学生の頃だ。まだその頃は下宿する前で、大学まで1時間弱かけて通っていた。その電車の中で少しずつ読み進めて行った。辞書もなしで読み進む。「辞書もなしで」と書いたのは、時として難解で、その難解さ…

久生十蘭全集

久生十蘭と夢野久作は、俺が大学生の頃、ちょっと大きめの書店に行くと全集の棚にどこでも在った。どちらも三一書房だったけれど、夢野久作のおどろおどろしい背表紙のロゴに対して、久生十蘭はヨーロッパ風のゴチック風のペダンティック風な作りだった。 そ…

Time magazine

定期購読をし始めてもう3年になる。『Newsweek』か『Time』かと言われたその『Time』だ。 読んでいるかと言えば読んではいない。手にとっているというのが正確だろう。でも、その背伸びが良いんじゃないかと思っている。いたいけな中学生が『週刊文春』の「…

机に向かう

大事なことを忘れていた。ひと夏、東奔西走というほどではないにしろ、あちこち渡り歩いて、泳いだり走ったり山に登ったりしているうちに、最近…なんだろ…この感じ…という感じになっていた。 怠けていたわけではない。退屈していたわけでもない。ただ、俺が…

花火嫌い

夏の終わりに各地で花火大会が開かれている。ところが俺はそういったイベントに行ったことがない。というか行きたくない。同じようなことを息子も言っていた。 人が多い。 うるさい。 暑い。 いいことはひとつもない。しかし、まったく同じ理由でそこに集ま…

秋の夜長的雑感

結局、読めなかった『誰がために鐘は鳴る』もそのままに、『Up』すなわち、『カールじいさんの空飛ぶ家』を買い込み、『Memoirs of Geisha』を買い込み、『罪と罰』を買い込んだ。 ラダーシリーズで、比較的読みやすい英文に沢山触れようという作戦だ。 財布…

旅の記憶9

訳あって韓国に11泊する出張中だ。日常的な業務をこなす場所はその会社のWi-Fiが飛んでいる。そのアクセスキーは初日に教えてもらい、こうしてブログの更新もこっそりしている。 大体夜は9時に業務が終了する。尿酸値が高い俺はそのまま真っ直ぐに用意さ…

夏の匂い

永六輔が『遠くへ行きたい』で「テレビカメラは全てを映し出すように思われているけれども、この匂いは運ぶことはできません」と、村祭りの様子を背景に語っていた。その舌足らずな口調が、誰かのモノマネにそっくりだった。 『遠くへ行きたい』ではなくて、…

信じてみる

昔、あちこちの温泉に連れて行ってもらっていた時期がある。20才とかせいぜい25才とかの頃だ。俺と直接の師弟関係はない大学教授と知り合い、その人が「ひとりで行ってもつまらないし」と、俺と友人を誘ってくれたのだ。年にそんなことが2,3回あった…