読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

こくう物語

写真 雑感

 

こくう物語

こくう物語

 

息をつめるような思いで、毎月毎月雑誌を買うという経験をしなくなって久しい。ある時期の『宝島』や『ガロ』という雑誌がそうであったということは、以前ここで書いたことがある。

 

その『ガロ』に連載されていたのが『こくう物語』という鈴木翁二の作品だ。ちょっと前にイカ天バンドの「たま」が、自分たちの世界観を表現するのに「鈴木翁二」のようなと表現していた。(ちょっと前?1989年にグランドイカ天キングになる…27年前か…ふん)

 

「たま」の言うとおり、独特で昭和でレトロスペクティブで、素朴でいて作りこまれているその世界が大好きだった。俺は不定期に掲載されるその世界を楽しみにしていた。ひょっとしたら、単純に締め切りが遅れただけなのかも知れない。その辺の事情は分からない。


 

f:id:jerryrollsunny:20160325202103j:plain


これは著作権的に反則だが、こんな場面がある。

 

「サガシテモミツカラナカッタネ ヨンデモヨンデモトドカナカッタ セカイノハテカラハテマデサマヨッタンダヨ ナンベンモナンベンモゼツボウシタンダヨ デモヤットアエタンダネ オマエトアエタンダネ!」

 

こんな台詞を、幼い弟と影踏みをして遊ぶ姉の姿に重ねて書きつけることができる作者を俺は他にしらない。

 

そして齢五十の半ばを越えんとして、この台詞が沁みる。深夜にこの場面を読んで、静かにはらはらと涙が流れたりするのだ。


ここには載せないが、次のページで座り込みながら涙する姉のように。


心配して弟は「どうしたの?」と問いかける。「分からないの…分からないの」と姉はうずくまって答える。


「生」の一回性と「前世」と「来世」がない交ぜになった場面だ。