ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

酒蓋

 

 

一番古い記憶のひとつに、年上の友人たちに不承不承原っぱに連れて行かれ、(俺はのび太だ)チャンバラの見学をさせられていたというものがある。俺は2人が夢中になっている隙に、そっとその場を離れ、ばっくれて帰るという子どもらしさの片鱗もないやつだったのだが、しかし不承不承ながらも付いて行ったのは、彼らが「いっぱいの酒蓋」を持っていて、見せてくれると言ったからだ。

 

酒蓋、文字通り日本酒一升瓶の蓋だ。あれを集めるのが流行った。

 

意味が分からない。遊戯王カードのように勝負を競うわけでもなく、だから向上すべき技術もない。かといって記念硬貨や切手のような、なんというかコレクターとしての食指を引くものでもない。

 

そもそも集めた酒蓋だって、ビニール袋に溜め込み、やがてそれがいっぱいになると、ある者は一斗缶に入れ、猛者と呼ばれるのだ。

 

純粋に貯めこむことだけに意味があった酒蓋だ。さすがにあんなものは今はないだろうと思っていた。ところが、息子たちがまだ小さい頃、まだムシキングもビーダマンも流行る前には、彼らも酒蓋を集めていた。

 

そんなに呑兵衛の親たちが居るのか。そもそも彼らはどこから集めてきたのか。俺は正月くらいしか日本酒は呑まない。まして一升瓶なんて家で開けることはない。貯めるだけ溜め込んで子ども部屋に堆積した酒蓋は、やがて潮が引くようになくなっていった。

 

色々と不思議なことだ。