ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

50代からのサーフィン 続き

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この続きだ。

 

今、全身を地面に打ち付けられたような痛みを感じている。それは疼痛ではなくて、鈍痛だ。具体的にどこがというわけではなくて、全身がというのはそういうことだ。

 

年若い友人に誘われてうかうかとやってきたのだ。職場でいそいそと下着を水着に履き替えて、およそ一時間掛けて海沿いの町に下り立ったのは、午後2時を少し回っていた。

 

彼女に紹介されたのは、地元で中高時代からサーフィンに明け暮れたケンさん(仮名)だった。常時自然の中に片足を踏み込んでいる人独特の包み込むようなバイブレーションと笑顔で俺を迎えてくれた。ケンさん(仮名)の家には、お定まりのように、5・6人のサーファーたちと、その子どもが車座になって、お菓子を食べ、ジュースを飲みながら談笑していた。

 

ウエットスーツもボードも全てケンさん(仮名)に借りた。海岸への道々、簡単なレクチャーを受ける。

 

曇天の海は鉛色。正面には、大きな波に乗るサーファー。ケンさん(仮名)は「右手の防波堤の近くは、波がもっと穏やかだけど、どうします?」と言う。どう?…という間に「ま、大丈夫な気がします。こっちでやってみましょう」と正面の、俺からすれば、プロの波に挑戦することを促された。

 

「大丈夫な気がします」と言われれば「大丈夫な気がしてくる」のが俺の良い所だし悪い所だ。

 

パドリングがあんなに難しいとは思わなかった。5分ほど沖に向かって格闘するもかなわず、ケンさん(仮名)に「私の判断ミスです。防波堤の方に行きましょう」と言われた。

 

その時、俺の心拍数は、過去最高を記録していたろうし、「波」というものが持っているパワーに、軽くパニックを起こしていた。

 

遠浅の防波堤付近で、波に乗る練習をした。ケンさん(仮名)に押してもらい、タイミングを指示してもらい、何度か試みた。ああ、またダメだ…と思った時、ボードの下に波が渦巻いていることに気付いた。俺は波に乗っていた。

 

自分も存分に波に乗りたいケンさん(仮名)が仲間たちの方に戻り、俺ひとりで幾度と無くタイミングを測り、浮かべたボードの上に飛び乗る・パドリング・立つ(正確には立とうとする)を繰り返した。

 

ふと気づくと波打ち際で笑顔のケンさん(仮名)が手を振っていた。俺も振り返して、また波に向かおうとして、あ、あれは帰って来いってことだと気付いた。あっという間に2時間が経っていた。

 

波は強い。漂っていることを選んだとしても、その強さに翻弄されるだろう。まして、その波に乗ろうとするならば、そのパワーを御していかなくてはならない。御しきれないと、全身が鈍い痛みに包まれることになる。

 

ワイの負けや。

 

何に負けた?

 

波に、海に、自然に、地球に、宇宙に…と相手は広がっていく。

 

なにかに似ている。こうして、布団の中でカメのように首だけを出してキーボードを打ちながら、自分の姿を振り返ってみると、何かに似ている。何かのようなつもりになっている。

 

…瀕死のサイヤ人だ。

 

オラはもっと強くなる。強くなってあの波をオラのものにしてやる。