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ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

朝の光

雑感

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郊外の私鉄電車に乗って通勤する。下り電車なので、車内は立っている人がひとりふたりという状態だ。これから仕事に向かうという独特の雰囲気をまとってはいても、朝の光の蕊が、身体の中に入り込んでくる。

 

この窓から入る陽の光を描写したい。それだけの情動に突き動かされて小説を書いてみたいと思う。それは「物語」ではない。そこにはストーリーはない。だったら小説だ。

 

遠くのビルが背景の青空にくっきりと輪郭を際立たせている。その輪郭を絵に描くとしたらどうやって筆を使うのだろう…と考えていると、突然トンネルに入る。それまで車窓から飛び込んでいた光の粒子が行き所を失って、窓ガラスに乱反射する。

 

50代半ばを過ぎた女性がドアに寄りかかって外を眺めている。彼女はいつもそうやって外を見ている。姿勢の正しい額の綺麗な女性の踵の辺りを俺は見ている。

 

詰めていた息が解放されるようにトンネルを出る。トンネルを出るとすぐ駅だ。

 

姿勢の正しい女性はその駅で降りる。俺はもうひと駅、眠りもせず、活字も追わずに、「何も考えない」を考えている。