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ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

森鴎外 杯

雑感

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天才だよ。やはり。

と紹介された精神科医中井久夫の本を読んでいたら、森鴎外について言及している部分があった。こういう大事なことは、必要に応じて、先方から訪れてくれることになっている。

 

暫く文芸の世界から離れていた鴎外は、この『杯』という散文詩によって創作の世界へ戻って来たのだそうだ。

 

そこにはこうある。

 

「Mon verre n'est pas grand mais. Je bois dans mon verre.

わたくしの杯は大きくございません。それでもわたくしはわたくしの杯で戴きます。」

 

この散文詩は鴎外が、当時を席巻していた自然主義批判として書いた小品とされている。でも、そんなことはどうでも良い。この啖呵が、この決意が小気味よい。

 

虎の威を借る狐さながらに、呟いてみるのだ。

 

ええ、あいすいませんが、俺も俺のこのサカズキで頂きますよ。

薄汚れていても、欠けていても、えぇ、確かに小そうございますが、このサカズキでね。