ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

サボる

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原体験となるような景色がある。実際に目にしたことがあるわけではない。通りすがりに垣間見たわけでもない。イメージとしてあるだけの風景だ。

 

真新しい夜が生まればかりの頃合いだ。海岸通りは、通り過ぎるヘッドライト、テールランプの光が潮騒の干渉を受けてぼんやりと滲んでいるように見える。そこは海に向かって大きくテラスを広げた店だ。

 

その店で夜の海に向かって何をするでもなく、時間をやり過ごす。

 

中学の頃、空手を習っていた話は既に書いた。大変なことは嫌いだったので、よくサボりもした。サボってどこへいくあてもなく、練習が終わる頃合いまで、夜の町の幹線道路をどこまでも走っていた。そのさなかに想起された風景のような気がする。エキゾーストノートの匂い、ひっそりとした道路、風の湿り気。

 

あぁ、そうだ。俺はよくサボった。中学の頃、やはり毎週日曜日に英語を習いに行っていた。電車に20分ほど乗ってだからこれは本格的だ。学内の試験を受けて合格すると特別講習というのを受講することが出来た。その特別講習は中学校の教科書のようなテキストではなくて、カナダのフランス語圏の子どもたちが使う教科書だった。それがハイカラな気がしたので、頑張って試験に合格した。

 

それなのに続けるということが苦手だから、やはりサボった。一ヶ月サボった時は、通知が来た。親に叱られた。その時はサボって秋葉原で店頭の大型テレビのディスプレイを眺めていたり、レコード店をひやかしたりしていた。

 

その画面でオールマン・ブラザーズ・バンドのライブ、ディッキー・ベッツがソロを弾く場面を見たのを覚えている。別な時にはモハメッド・アリがロープを背にジョージ・フォアマンのパンチを受けていたのも見た。

 

高校だって大学だって、サボることに関してはエキスパートだった。

 

この夏前にある友人から「最近、手ぇ抜いてないか」と言われた。「以前の全力疾走感がないんじゃない?」と。

 

サボっているのかも知れない。でも、俺はいつだって、自分が必要だと思えば本気でサボってきた。サボることが俺の真骨頂だ。