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ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

鎖骨骨折

雑感 自転車

4年前に自転車から落車して鎖骨を骨折した。(クロスバイク)正確には右の鎖骨と肋骨を2本の骨折だ。

 

まだ乗り始めて間もない頃、マラソンランナーと同じで、走れることが嬉しくて、サイクルコンピュータを見ながらケイデンスを維持してどこまでも走っていた。そして何よりも最高速度を時速何キロまで出せるかが興味の一端にあった。

 

ひーひー言いながらのヒルクライムの後、登れば下るのだ。それまでの最高時速は51キロだった。落車した時もやはり下り坂の途中で、メーターは既に51キロだった。これは更に行ける…そう思ってペダルを踏み込んだ時、車体が大きく傾いた。

 

次の瞬間のことをとても良く覚えている。転ぶことは確信している。そして為す術がないことも。ゆっくりとアスファルトが近づいてくるそんな「一瞬」があって、痛みがあった。激突と痛みの間に、スタートを知らせる轟砲の煙と音とのズレのような落差があった。

 

俺は少年ジャンプの登場人物のように「ちっ、これは折れてやがるな」とか呟きながら自転車を押して立ち上がったのだ。ハンドルを握れないので妻に迎えに来てもらい、医者に行った。

 

「イッちゃってるねぇ。鎖骨はぐっと胸を張って折れた重なりを出来るだけずらしてくっつくのを待つか、手術するかなんだよねぇ」と言われた。「バスタオルを丸めたのを背骨の下に敷いて寝る。それくらい胸を張っておかないと」そう言われた。

 

言われた通りにバスタオルを丸めて寝ていた。痛くてたまらない。とても眠ることなんて出来なかった。

 

翌日、1日休みを取って再診を受けた。「昨日は、肋骨のことは言われた?」「いえ」「肋骨も折れてるよ」

 

折れたのが右の鎖骨だったので、お約束通り「右骨、ウコツっす、折れたのは」とボケながら勤めた。有森裕子のように1日だけの欠勤で働いていた自分を自分で褒めたいと思うけれど、そもそもが誉められた所業ではない。

 

ちょっとだけまともなことを言うとするならば、三箇所を骨折した状態で通勤する時、いかに町が、職場がバリアフリーでないかが良く分かった。出来る限りの振動を避けたいし、段差は恐怖だ。老人がどんな気持ちで横断歩道を渡っているか良く分かった。それ以来、車を運転して居る時に、目の前を老人が横切っても、「ちっ、ジジイ、早く歩けよ」とは思わなくなった。

誰も彼もが何らかの意味合いでジジイなのだと、それぞれが抱えて居るものに少しだけ思いを致す事が出来るようになった。