ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

1on1(ワン・オン・ワン)

 

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 『ワン・オン・ワン』は映画の題名だ。バスケットの練習で、3on3と言えば、3人対3人の練習のことだから、1on1は1人対1人ということだ。様々な対立の渦に巻き込まれた主人公がその渦を1対1の集積だと捉え直すところから、ドライブが掛かってストーリーが回転を始める。

 

ワン・オン・ワン [VHS]

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DVD化はされていない。やがて忘れられる(既に忘れられた?)映画だ。俺の高校時代の同級生が教えてくれた。彼は、こういったB級アメリカ映画が大好きで、他にも『ペーパーチェイス』などの傑作を教えてくれた。『ペーパー・チェイス』は、DVDになっている。

 

ペーパー・チェイス [DVD]

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さてこそ、『ワン・オン・ワン』だ。バスケットのセレクションを受けて大学に入った学生が主人公だ。言っちゃ悪いがスポーツで大学に入学する学生は、成績を度外視してくるわけだから勉強が追いつかない。

 

3番サード長嶋が英語の授業で指名されて「The」を「テヘ」と読んだとか、ドイツ語の授業に出席して隣の学生が辞書を引いているのを見て「へぇ、英語にもそういうのがあれば良いのに」と言ったとか、輪島の卒業論文は原稿用紙1枚に一文字ずつ「卒」「業」「さ」「せ」「て」「く」「だ」「さ」「い」と書いてあったとか、そんな都市伝説が生まれる所以だ。

 

アメリカではそんな連中には同じ学部の先輩がチューターとして付くという制度があるらしい。主人公にも先輩の女子大生が家庭教師として付く。彼女は経済的に厳しい状態にあって、バイトとして渋々「知的好奇心・関心の低い」マッチョたちの面倒を見ている。

 

「今ままであたしが面倒見たスポーツ選手でメルヴィルの『白鯨』を読んだことある人はひとりもいなかった。そんな連中の相手はうんざりなの。でもバイト料には代えられないから』

 

彼は彼で本を読むなんてこと、勉強するなんてことはバカにしている。バスケの実力は4年間の奨学金付きで大学が認めてくれている。俺はバスケをやっていれば良いんだ。だから、彼女との時間も止むを得ずって形で消化する時間だ。

 

でも高校時代はコートの花形だった彼も大学レベルでは思うように通用しない。コーチは彼を辞めさせようと画策する。一番手っ取り早いのは学業成績不振により奨学金資格剥奪→退部退学という道だ。

 

精神的にも肉体的にもコーチは彼を追い詰める。ここからがB級の真骨頂だが、彼は取り敢えず試験の結果を出すことを目標として、彼女に「俺に勉強を教えてくれ」と頼む。

 

「『白鯨』を読み通したらね」

 

これが彼女の条件だ。彼はコツコツと読み通し、二人の猛勉強のシーンとなる。

 

バスケットチームもリーグ決勝戦まで勝ち進み、彼だけはベンチに座ったままでコートに立つ指示は出ない。しかしレギュラーの怪我などで、ビハインド状態のラスト5分程度ようやく出場する。彼は水を得た魚のように得点を重ね、同点に追いついたラスト3秒、彼の放ったロングシュートが…。

 

と、この映画のことを思い出す度に、もう一度見たくなるというよりは、『白鯨』が読みたくなるのだ。

 

白鯨 上 (岩波文庫)

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白鯨 中 (岩波文庫)

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白鯨 下 (岩波文庫 赤 308-3)

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