ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

ジグザグのジグ

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誰もが自分の名前を持っている。名前を持っていない人はいない。その人が生まれる時に、その誕生をことほいで、どのような名前が相応しいか、一生懸命考えてくれた人がいたということだ。だから、自分でも他人でも、その存在をないがしろにするようなことはしてはいけない。

 

そんな話を聞いたことがある。

 

逆に名前を持つことで存在を認められるということもあるだろう。俺の「ジグ」という名は、俺が、もう15年前に俺の中のある部分にそう名付けたものだ。

 

15年前に俺は「自己紹介をさせていただく。俺の名前はジグ。ジグザグのジグだ」そんな書き出しで文章を書いた。ある夏の旅行記を800字程度で紹介するという場面で、ほんのちょっとした思いつきで、冗談半分にそんなキャラクターを設定した。そんな人格でも、一度語り始めてしまうと、それきり放ったらかしにされることを許してはくれないらしい。

 

そもそも、そのジグザグという語感には、『赤頭巾ちゃん気をつけて』という庄司薫の小説で出会った。その中で親指の爪を剥がす怪我をした東大受験生の主人公が自転車を「ジッグザッグ」と漕ぐ。そんな場面を読んだ高校1年の頃から、「ジグ」という音は気になっていた。

 

赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫)

赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫)

 

この小説は難しくなくて素敵だった。もう一度。難しいことを難しくなく書いてあって素敵だった。単純な俺は感化され過ぎて、彼女にするなら「由美」っていう名前が良いなぁなんて夢想したこともあった。「由美」っていうのは、この小説に出てくるちょっと気の強いガールフレンドの名前だ。カチンと来るとすぐに「舌噛んで死んじゃいたいわ」って言う。

 

A地点からB地点まで移動する時にその最短距離は直線だ。だからといって、直線を選ばなければならないというルールはない。俺は、その2点間に無限にある曲線を恣意的に選択する移動点Pの働きを「ジグザグ」と名付けた。

 

ルイス・サッカーの「穴 Holes」という小説にも「Zigzag」というキャラクターが登場する。感化院に入れられた主人公の友人だ。そこから脱走する主人公も、俺の好きな多くの「間抜け」と呼ばれた向こう見ずな楽観主義者のひとりだ。

 

穴  HOLES (講談社文庫)

穴 HOLES (講談社文庫)

 

「負けたヤツっていうのは、自分は負けたと思うヤツのことだ」と思わせてくれる小説だ。続編もある。

 

Small Steps

Small Steps

 

実は俺は生まれた時、仮死産だった。難産の後、逆さにぶら下げられた俺は、医師に尻を叩かれて「ぶぎゅ」と呻いたそうだ。

 

そんなわけで、俺は産声をまだ挙げていない。あの手この手を使って、産声を挙げる方策を探っている。ここもそのひとつだ。