ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

ジュリエット・ゲーム

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鴻上尚史が監督をした映画『ジュリエット・ゲーム』を俺はノーパンで見た。1989年の映画だ。

 

バブルの頃、俺はまだ学生だった。その頃、シカゴ大学から留学生が来て、彼女のチューターをしていた。彼女は1年も居たのだろうか。やがて帰国の途につく。その前に送別会をすることとなった。居酒屋でしこたま飲んだ。その時の様子が写真に残っているが、俺は居酒屋の座敷で同級生とアキレス腱固めを掛け合っている。

 

翌日、友人から電話が掛かって来た。映画を見に行かないかという誘いだ。何がどうしてそうなったのか俺は覚えていないが、今からすぐに出てこい、隅田川で川下りをして、浜離宮でおでんを食べて、それから見ようということになった。

 

まだ前日の酒が残っている状態で、川下りの船内でも、また、おでんを食べながらもビールを飲んだ。

 

碌でもない話をしながら、新橋から日比谷までブラブラと歩いた。交差点で信号待ちをしている時、突然俺のお腹が痛くなったのでガスを抜こうと脱力したら、そのような状況で想定される最悪の事態に見舞われた。

 

友人は何も気付かずに信号を待っている。当時新橋で働いていた友人に直近の公衆トイレを尋ねるとそこへ駆け込み、いや、駆け込むことは出来ない。赤瀬川原平のエッセイに描写されていた「沢山の電球を風呂敷で包んだものを担ぐような、軽いのだけれど乱暴に扱うと危険な」そんな緊張感がわだかまったような状態でトイレに入ると、下着を捨てた。確認したが、ズボンにまでは侵出していなかった。もう大丈夫。勿論、俺は友人にはそんなことなにひとつ感じ取られないようなポーカーフェイスを見せていた。

 

何食わぬ顔で『ジュリエット・ゲーム』を見た俺は、なおかつ感動までして、池袋の下宿に帰ってきた。

 

帰ってくると当時付き合っていた女の子が部屋の万年布団の上で、タバコを吸って待っていた。当時、携帯電話なんてまだ全然普及していない。「何度も電話かけてもいないから、良いや行っちゃえって」「昨日、あの子の送別会だったんでしょ?」「そのまま帰ってないんじゃない?」「今まで何してたの?」なんてことを畳み掛けるように尋ねられた。

 

なに言ってんの?朝、あいつから電話かかってきて、一緒に映画見てきたんだよ。隅田川を浅草からポンポン蒸気に乗って、あ、そんな言い方古いよね、今は水上バスって言うんだけどさ、浜離宮まで行って、鴻上尚史第三舞台鴻上尚史の「ジュリエット・ゲーム」って映画を見て、国生さゆりが出てるのね、だいたい、こんな嘘、こんな細部までしっかりした嘘なんかつけるか?だとしたら天才だぞ、俺。

 

話しているうちに俺はバカバカしくなってしまった。疑われるような要素は何もないのに、なんだか言い訳のトーンで説明している自分の姿が納得いかなくなってしまったのだ。

 

面倒くさいから、場面も二人、布団の上ということもあるし、この際そういうことになってしまえと彼女のタバコを揉み消して、途中まで仕掛けた時に、俺は自分がパンツを履いていないことに気付いた。

 

その後、俺はそのような状況で想定される最悪の事態に見舞われる。