ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

野球部の練習

 

近所のグラウンドで野球部が練習をしている。シートノックをしている様子を暇にあかせて眺めていた。

 

上手な学生と下手な学生がいる。上手な学生はやり慣れている。下手な学生はやり慣れていない。その「慣れている」というのが、例えばグラブのさばきであったり、ピッチングの時の体のバランス感覚だったりするのだろうけど、そんなことよりも、ちょっとした立居振舞、マウンドに立った時、足の位置を決めるためにプレートの辺りを少し足先で掘ってみたり、スパイクの裏に付いた土をグラウンドに踵を叩いて落としたり、そんな何気ない所作から感じられる。

 

どんなスポーツでも子供の頃からやっていた奴には、習い性となって身に付いた動きが自然にあるんだろうな。

 

そうだ職場の親睦会で、ソフトボール大会が行われたことがあった。言われてセンターの位置にいた俺の所にボールが飛んできた。俺は、そう、本当にどうして良いか分からずに、取り敢えず内野の方にボールを投げた。そうしたら「どこ投げてんだ!」とチームの監督役の上司に怒鳴られた。

 

親睦なのに。親睦って言われたから出たのに。

 

ギターを弾く俺は、人前で演奏するとなったら、マイクの位置を確認し、モニターからの返しを聞いて、チューニングを確かめる。そんなことをきっと流れるように、自然な所作で出来るはずだ。悔し紛れに、あの時そんなことを考えた。

 

キャッチャーが「声、出てないよ!」と味方に声を掛けている。すると内野も外野も「エイ!」だの「イヤ!」だの「バッチ来い」だの声を出し始める。

 

かねてから、運動部の連中が「声出し」というあの行為の意味が分からないなぁと思っていた。今日、相手チームのランナーが出て、得点圏に進んだ時、「あれ?こういうことなのか?」と思ったことがある。

 

「声出し」って、緊急事態の為のアイドリングなのかもしれない。

 

セカンドランナーがリードする。セカンドが塁に戻る。ランナーコーチが「セカンド、入った!入った!」と叫ぶ。ランナーが戻る。バッターがバントする。サードがバントを取りに走る。ピッチャーは迷って二・三歩ボールの方に進む。ランナーコーチが「三塁空いてる!」と叫ぶ。ショートは「ピッチャー!サードカバー!」と叫びながら、三塁に走る。

 

普段からどうでもいいような声を出していないと、いきなりバタバタとなった時に、一歩前に踏み出すように指示が出せないんじゃないかな。

 

大抵のことは「いざという時」のための準備。アイドリングなんだ。友だちとまめに連絡を取ったり、恋人の荷物を持ってやったり、家族に優しくしたりするのは、突発的に起こる緊急事態のための準備。

 

あぁ、そんなことを考えながらグラウンドで野球部の練習を眺めていたんだ。

 

 

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