ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

誰も知らない所

海外に初めて行った時の解放感は、それまで身に付けていた衣装を脱ぎ捨てた快感だった。毎日の生活の中で知らず知らず、或いは意識的に身にまとっていた立居振舞のパターンを一度チャラにして、もう一度作り上げる快感。

 

本来在り得ないはずの「リセットボタン」を手に入れたような気がしたわけだ。俺のことは誰も知らない。俺がいじられキャラだってことも、ずっと付き合っていた女子と別れて、それ以来痺れたようになってバタバタしていたことも誰も知らない。っていうかそんなことに誰も興味を持っていない。

 

日本では「あ、外人」って思われるのが外国の人だけど、イギリスにはアジア系の人もインド系の人も沢山居た。だから俺なんか明らかに「外人」なのに、情け容赦ないBBC並のスピードの英語が飛んでくる。Paddingtonの駅で乗り換えについて窓口で確認した時、「秋葉原で乗り換えれば良いんですよ。ただ秋葉原からだったら京浜東北線と山手線と田端までは並行して走っていますし、駅も共通していますから、どちらに乗っても構いません。気をつけなくちゃいけないのは、京浜東北線は快速もあって、途中駅を飛ばすことがありますけど、ま、今の時間帯だったらそれも大丈夫でしょう」的なことを(全くの想像だけど)すごい勢いで説明された。それも「普通」に扱われている感じで嬉しかった。

 

それが嬉しかったから、同じ語学学校に日本人もいたんだけれど、彼ら彼女らとも英語で話していた。せっかく高い金払ってイギリスまで来てるのに、日本語話すなんてもったいなかったし、リセットボタンが元に戻ってしまうような気がして。

 

今にして思うと、相当鼻持ちならないヤツだな。でも掻き捨ててしまう。

 

帰ってきて思うのは、実はそんなリセットボタンなんていつでも手にしてるんじゃないかってこと。例えば、このブログってフィールドだって、言葉だけを手がかりに、俺を等身大で表現することしか出来ない。それがとても嬉しいんだ。

 

これが俺だ。これが俺なんだ。

 

f:id:jerryrollsunny:20060726225432j:plain

ウォーリックキャッスルの塔の上から。