ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

イギリス-3

 イギリスの話が続いちゃうな。仕方がない。

 

あの年は皆既日食があった夏。

 

俺の通っている語学学校でも、その日が近づくに連れ、話題になり始めた。今もそうだけど、「太陽を直接見てはいけないよ、目を痛める」そんなことを先生は言っていた。

 

やがて、その日その時間には、日食を見る為に近くの公園にみんなで行こうということになった。その為には、遮光グラスを手に入れなくちゃいけない。とっさに頭に浮かんだのは、よく単語帳なんかに付いてくる赤いセルロイドの下敷きみたいなもの。

 

テレビなんかでは、サングラスでも危険で、専用のものを使わないといけないとか言ってたみたいだけど、そこまでのリスニング能力はないし。

 

クラスは違うけど良く顔を会わせるのでなんとなく知っているドイツ人2人と、たまたま同じタイミングで文房具屋を巡るような感じになった。彼らときたら、俺なんかより全然西洋人の顔つきなのに、英語が、からきし話せなかったんだ。俺が彼らの代わりに、何が必要か説明してやったんだ。まぁ、顔つきで英語を話すわけじゃないけどね。

 

結局、全然手遅れで、手に入れられないまま当日を迎え、「まぁ、良いや。見なければ良いんだから」なんて思いながら、クラスのみんなとズータカ歩いて公園に行った。

 

並んで歩きながらルーマニア人のアレクサンドラは「日本人は本当に真面目だし、優しい」って言ってくれた。「アタシは本当にすごいと思うのよ」って。

 

広い野球場くらいある公園には、やはり大勢の人たちが日食の光景を楽しもうと集まってきていた。

 

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やがて本当に(当たり前だけど)少しずつ太陽が欠けていき、スウェーデン人の修道女が「見てご覧なさいよ」って、俺に遮光グラスを貸してくれた。

 

 

その瞬間、太陽が全く欠けてしまった瞬間、それまで騒いでいた鳥の鳴き声がぴたりと止んで、明らかに熱が地表から失われたって感じがした。ザワって音を立てるように静寂に包まれるあの感じ、忘れられないな。

 

 スウェーデン人の彼女は、小柄でとっても可愛かった。

 

同じクラスにいたイタリア人のマイケル。

希望者が集って映画鑑賞をするって日があって、視聴覚教室でグウィネス・パルトロワの『スライディング・ドア』を見たんだ。「行こうぜ」って誘ってっくれて、一緒に見たんだ。彼は前にも見ていたらしくて、物語の前提になる枠組みを、教室の暗闇の中でコソコソって教えてくれた。あれがなかったら、チンプンカンプンだったかもしれない。

 

しとしと降る雨を教室の中から眺めながら「イギリス人がどうしてバカンスにアタシたちの国に来るのか分かったわ」って言ったやっぱりイタリア人のエマ。

 

パブに飲み行った帰りに偶然出会ったトルコ人。あれはもう10時過ぎだったよね。

 

Rayの家で、同じ頃にホームステイしていたブラジル人。

 

みんなどうしているんだろう。あの頃は今みたいにFacebookなんてないから、バラバラになってしまったままだ。

 

また会いたいね。

会って、あの The Old Tiger's Head ってパブで、お互いの靴下自慢をまたしたいよ。

 

あの店で、Billy Joelの『Up Town Girl』が流れた時、店中で(店の従業員も含めて)何故か大合唱になって踊り始めたのを忘れられないんだ。(多分サッカーの試合結果が関係して盛り上がってたんじゃないかな)

 

あの時みんなあの店に居たじゃないか。スウェーデンの修道女は居なかったけどね。

 

日食の話を書こうと思っていたのに、全然違う話になっちゃった。