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ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

イギリス-2

 

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初めて海外に行ったのは、もう10年も前のこと。

知り合ってすぐに結婚した妻が「海外に行ったことないの!?」と驚いたからだ。バブル期のOLで、インドやらヨーロッパやらあちこち旅行して来た彼女には、信じられないことだったらしい。

 

海外への憧憬は人一倍強かったと思う。強かったから行かなかった。

 

どうせ行くなら「旅行」はつまらない。ひとつ所にずっと居たい。ささやかながらも「生活」っていうものに触れたかった。

 

ベルギーに在住している友人が一時帰国して食事をする機会があった。相談してイギリスの語学学校を紹介してもらった。

 

英語の準備に使ったのは『Duo 3.0』。効率が良さそうだったから。

中学時代はけっこう好きで英語の勉強をした。

The Beatlesが好きだったから、歌詞を暗記したりね。だから、ちょっと英語には自信もあった。

 

『Duo 3.0』をやってみると、高校時代に習ったような英単語ががっぽり抜けてるってことが良く分かった。

 

俺をホームステイさせてくれたのはレイっていう50代後半から60代くらいのの旦那さんと奥さんとの家だった。レイってレイモンドとかなのかな。二人の娘さんが結婚して家を出て行ったから、空いたその部屋を…ってことだったらしい。

 

路線図を確かめて、乗り換えて乗り換えて、教わったMottinghamという駅で降りた時、その後なんども目にすることになるレイの人懐っこそうな笑顔が、見るからにアジアな俺の姿を見つけてくれた瞬間に弾けた。

 

そのレイの笑顔で俺の山盛りの不安が溶けた。

 

すごいよね。初めての海外旅行で、13時間ぐらい飛行機に乗って、初めて英語での入国審査を抜けて、地下鉄のチケットを買って、スーツケースを抱えて電車を乗り継いできた不安の塊も、笑顔って溶かすんだね。

 

彼は滞在中、色々な所に俺を連れて行ってくれた。彼の親戚の家、彼の友人の家、俺はおっかなびっくりついていくと、情け容赦ない英語に翻弄されながら、取りあえず、やっぱり笑っていた。

 

仕事は何をしているのか分からなかった。色んな事をちょこちょこしてるみたいな話だったと思う。役者崩れみたいなところもあって、『恋に落ちたシェイクスピア』にエキストラで出演してるんだぜ、みたいなことを言っていた。

 

 随分優しくしてくれたのに、当時の俺は御礼の言葉を充分に手渡せるだけの語学力がなかった。今会ったら、もうちょっと、そう、もうちょっとマシに「ありがとう」って言えると思うんだ。

 

なんか、中途半端な対応ばかりしちゃったよなぁって思う。別れ際になにか気の利いたことでも言いたかったけど、それが出来ないのを語学力の所為にして帰って来てしまった。

 

写真は大英博物館大英図書館。本当は初めてイギリスに行った時は、どちらも行かなかった。別の機会に行った時のものなんだ。

「珍しい奴だ」って言われたよ、イギリスに旅行して大英博物館に行かなかったなんて。でも、したかったのは「観光」じゃなかったからね。「ここじゃないどこか」に行きたかったんだ。