ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

交差点で…

それはいきなりやって来る。今日は、自転車で帰宅途中、交差点の横断歩道を信号無視をして、コロコロと転がるように駆けてくる女の子の姿を目にしたことがきっかけだった。

 

その女の子(多分、あの大きな病院に誰か知り合いが入院してるんじゃないかな。そこからの横断歩道を走ってきたのだから)、特に誰かに…誰かって今まで付き合ったことのある誰かに似てるってわけじゃなかった。

 

日傘をさして、後ろから吹いてくる風に押されるように歩いているメガネを掛けた彼女の姿を目にした時、時空がグニャって歪んだんだ。

 

すごく格好を付けて言えば、プルーストの『失われた時を求めて』でマドレーヌを紅茶に浸して食べた時に、過去に囚われて行くってシーンのように(読んじゃいませんよ。読んじゃいませんけど、有名じゃないですか。だから、「すごく格好を付けて言えば」なんだって)彼女の姿を、自転車の上から見ながら、俺の五感は、過去に囚われて行った。

 

通り過ぎる瞬間は、本当に一瞬だけど、彼女の、俺を避けようと身構えるために顰められた眉毛が、風にそよいでいるのまで見えたように思う。

 

それがもう30年前に、俺が経験しなかったはずの過去の瞬間として通り過ぎたような気がしたんだ。

 

過去と未来の長さは同じで、ちょうどその真中にある「今」に俺たちはいるわけだけど、その過去も未来も流れすぎていくわけじゃなくて、螺旋状になって「今」の上にある。その螺旋をひとつ飛び越してしまったようなめまいを感じて、またすぐに日常の風景が戻ってきた。

 

そんな帰り道。