ジグ・ノート

備忘録のような形でつらつらと…

秋の夜長にぬくぬくと

秋の夜長、逢魔が時の町を彷徨き回る。どうってことないTSUTAYAに入っても、妙に懐かしいような、しっとりとした気持ちになる。棚に並んだグループサウンズのCDを目にすると、それにつられて鈴木いづみの小説を思い出したりする。 鈴木いづみコレクション〈…

宮沢賢治 永訣の朝

「Ora Orade Shitori egumo」って とし子、ロックだな。

一週間で終わらせろ 三代目魚武濱田成夫

随分と昔の話だが…その本を手に取ったのは、本当に偶然だった。平積みにされていることの効果というものを信じずにいられない。品川駅の構内にある書店で、平台の角に積まれていた文庫だった。 表紙に字だけが書いてあって『駅の名前を全部言えるようなガキ…

森鴎外 杯

天才だよ。やはり。 と紹介された精神科医中井久夫の本を読んでいたら、森鴎外について言及している部分があった。こういう大事なことは、必要に応じて、先方から訪れてくれることになっている。 暫く文芸の世界から離れていた鴎外は、この『杯』という散文…

良い睡眠のために

習慣的に煽っていた寝酒を止めてみた。 たまたま家に酒がなかったのと、凹みの時期にあったので、床に入るギリギリまで書見にいそしんでいたという経緯がある。 何しろ、その時間から酒を買いに行くのが面倒臭かった。 「面倒臭さ」というものは、偉大だ。…

吉本隆明 涙が涸れる

こんなことを言い出すと、いったいいつの時代の人だっていう風に思われるかもしれない。背伸びをしていた高校生の頃に読んだ雑誌『宝島』に「あの頃、学校の廊下や黒板の至る所に『とほくまでいくんだ』と書き付けたものだ」という記事を読んで、いかれてし…

切れたギターの弦から始まった芝居の話

ギターの1弦が切れてもう半月以上経つ。替えの弦は持っている。それなのに替えていない。そんなことが今まであっただろうか。あったような気もする。そしてあった時は、やはり今と同じように、何かがどうにかしていたのだ。 そんな風に事柄から何らかの法…

恥の多い生涯となるのは、その後で…

男子たるもの一歩表に出れば、七人の敵が居て云々。だからいつどんなことが有っても良いように後顧の憂いなく云々。下着も常に新品を履き、万事怠りない気合で居なければならない云々。 俺の友人は、刎頚の交わりを持った友に、自室の何箇所かあるHDDの場所…

風呂上がりの夜空に 小林じんことか

メンタリティを形成するのに重要な役割を果たしたものというのは、決して多くないはずだ。三代目魚武こと濱田成夫同様に現代日本の多くの青少年にとって、それは『少年ジャンプ』なのだ。だが、俺は『少年マガジン』だった。 時代…だ。 『明日のジョー』と…

いちばん高い塔の歌 アルチュール・ランボー

どうやって既得権益を捨てて新しいものを始めるか。 「自分」というものを考える時、「自分」がしたいことと「自分が属する集団」がしなければならないこととの齟齬が生じることがある。そんな「自分」の危機にこそ「自分」とは何なのかということを考える。…

モレスキン

モレスキンの手帳とペンを手に入れた。 友人が使っているのを目にして、いつかどこかで見た映画で、例えばヘミングウェイがアイディアをひらめいた時にすぐ、その大きな体を丸めて、小さなノートに小さな字を書き留めるようなシーンが思い浮かんだのだ。そ…

ペントハウス

ヴァーチャル・ヰタ・セクスアリスという記事で、俺が本を読むきっかけになったのは、宇能鴻一郎や川上宗薫、西村寿行や平井和正など父の本棚に押し込められていた小説雑誌に載っている小説がいやらしかったからだと書いた。 そして気付いた。 そうだ。幼い…

てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った

昨日の通勤途中、いつものように汗をかきながら自転車に乗っていると、前から大きなアゲハチョウがヒラヒラと飛んできて、俺の腕を掠めて去っていった。 その時、安西冬衛のこの一行詩を思い出したのだ。 俺は韃靼海峡というのがどこにあるのか知らなかった…

ヴァーチャル・ヰタ・セクスアリス

最初はお定まりの永井豪だった。 『ハレンチ学園』で、十兵衛が校舎の外に吊り下げられるシーン。友だちの家にコミックスが揃っていて、俺はその友だちと話もせずに、読みふけって帰った。その後、『あばしり一家』『イヤハヤ南友』『けっこう仮面』などを…

芝居の神様

渡辺えりがまだ渡辺えり子だった頃に聞いた話だ。彼女が確かNHKの番組に出て「芝居の神様」の話をしていた。 芝居の神様が居る。芝居の神様は芝居が大好きだ。だから、若い連中が芝居を立ち上げようと言う時には、芝居の神様が沢山集まってくる。芝居を作っ…

北山耕平の青空

『宝島』の編集長だった北山耕平が『抱きしめたい』という本の中で、江ノ電に乗って七里ヶ浜辺りで海に出る場面を描写していた。その本を見つけるために部屋を探せば良いのだけれど面倒くさい。何よりも俺の中に残った描写を思い出す方が面白いと思うのでそ…

カメラマン

中学の頃、キャリア教育の一環として将来の希望の職業を作文として書かされた。俺は、14、5才で人生考えさすなよと思いながら、途方に暮れていた。俺の父は錺職で、(「指輪に傷を付けた」)語弊があることを承知の上で、そのまま記せば「継ぐような仕事…

ひとつだけ

物が増える。 断捨離の発想に従えば、溜まった物はマイナスの気を発するようになり、本来、流れてしかるべき日常を滞らせるという。これは何かの本を参照したというよりは、部屋に溜まりうず高く積まれていく本やらCDやらの様子を見ていて直感的に感じるこ…

賭け事必勝法

なんてハッタリをかましたタイトルをつけてみたけれど、誰もが知っていることだ。賭け事に必勝する方法は、金持ちになること。それしかない。 100円賭けて外れたら、200円賭ける。200円賭けて外れたら400円賭ける。そうやって倍々賭けていけば…

1980年の喫茶店

以前、レインドロップという喫茶店についての話を書いた。 http://jerryrollsunny.hatenablog.com/entry/2012/06/23/072241 ( ↑ こうやってURLダイレクトの引用じゃなくて、タイトルから飛ぶようにしたいんだけど、やり方が分からない。) Rain Drop(紆余…

八五郎出世 三遊亭円生

落語を意識的に聞くようになったのは、何時頃からだろうか。家にあった古今亭志ん生の『貧乏自慢』にソノシートが付いていて、そこに収録されていた「蛙の遊び」を聞いたのが最初だと思う。今でも探せば、そのソノシートはどこかにあるのかもしれない。 例…

大きな高い山

見た感じは小型車両だ。決してアメ車といったデカイ豪華な感じではない。坊主頭でホロホロとよく笑う。後期高齢者の今となっては好々爺然とした印象だが、スピード狂で、ほんの数年前までは巡航速度130キロといった感じで高速道路を走っていた。 英語に…

電車の神様

この話は往路と復路で別々の話である。別々なのだがどこかでつながっているような気がする。 まずは往路、都内某所で会合が持たれた。中国に単身赴任中の友人が一時帰国するというのだ。それまで随分と疎遠になっていたのだが、今時らしくFacebookで繋がり…

禁煙ストーリー

中学の頃から大人の目を掠めて吸ってきたタバコを止めたのは、6年前だ。ざっくり15歳から45歳まで吸ってきた。止めようと思わなかったわけではない。結婚をした時を皮切りに、子どもが生まれた時、次の子どもが生まれた時など、「止めようかなぁ」の機…

1on1(ワン・オン・ワン)

『ワン・オン・ワン』は映画の題名だ。バスケットの練習で、3on3と言えば、3人対3人の練習のことだから、1on1は1人対1人ということだ。様々な対立の渦に巻き込まれた主人公がその渦を1対1の集積だと捉え直すところから、ドライブが掛かってストー…

看板作り

こうしてやっているひとつひとつの事柄に一体どんな意味があるのか考えてみる。それは仕事であったり、このブログであったり。例えば学生なら勉強することにどんな意味があるのか考えてみたように。 数学なんて意味がない。学校を卒業してから使うのなんて…

片想い

ジョン・アップダイクの短篇集なのだけれど、題名も何もかも忘れてしまった。そもそもアップダイクの小説は、読むというよりも、読んでいる姿を誰かに見せたいという気持ちの方が強くなってしまう。実はこれまで読み通せたことがあまりない作家のひとりだ。…

ぼくのおしゃれ

ぼくね、いろんなことが、だめ、なの。体育の授業でバレーボルやっても、だめ、だし、技術家庭の授業でちりとり作ってもだめ、なの。何回怒られてもルール覚えないし、アルミ板をどうやってもまっすぐ折れない。中3にもなって、実は分数の割り算がよく分か…

荷風のこと

ひょんな思いつきで永井荷風大先生のことをエロジジイ呼ばわりまでした罰当たりな俺だが、そこにアマゾンの商品紹介のリンクを貼った。 そして、つい自分でも『濹東綺譚』を買ってしまった。 ずっと以前に読んだ覚えはあるのだけど、改めて読み直すとやはり…

2番目に嬉しいこと

俺の自身の体験にことよせて、年若い友人が教えてくれた言葉を紹介しよう。今日のブログの最後のひと言は、彼が俺に言ったものを借用した。 まずは俺自身の体験から。 イギリスで学生たちの様子を見ていた時の話だ。基本的に俺は部外者だった。 学生たちは…

つゆのあとさき(閲覧ちょっと注意)

老人の会話を模す時には、例えば「そんなことはないのじゃ」と表現される。しかし、仮に笠智衆はそのように話すとしても、リアルな場面でそのように話している人に出会ったことはあるだろうか。 そんなことを考えた。 そしてその表現がもし実際にあるとして…

ジグザグのジグ

誰もが自分の名前を持っている。名前を持っていない人はいない。その人が生まれる時に、その誕生をことほいで、どのような名前が相応しいか、一生懸命考えてくれた人がいたということだ。だから、自分でも他人でも、その存在をないがしろにするようなことは…

ジュリエット・ゲーム

鴻上尚史が監督をした映画『ジュリエット・ゲーム』を俺はノーパンで見た。1989年の映画だ。 バブルの頃、俺はまだ学生だった。その頃、シカゴ大学から留学生が来て、彼女のチューターをしていた。彼女は1年も居たのだろうか。やがて帰国の途につく。…

中間報告…これはね

大抵の論の展開にはパターンがあるように思う。例えば、過去と現在を比べると、過去は一概に否定出来ないものとなるだろうし、西洋と東洋との比較となれば、「東洋の包括的な世界観にこそ膠着した現在からの一点突破が在り得る」という論旨となる。 余程の…

時計が届いた

これまでしていた300円のシリコンものや980円のものに比べるとずっと重い。この重さは「時間」の重さと丁度釣り合う形になる。なんて言うと小学校の先生の説教のようだ。 俺は、中学生になった時、初めての腕時計を買ってもらった。俺たちが入学する…

あひみての…

高校の頃、古文の授業で「逢ふ」「見る」は「結婚する」と訳すんだと教わった。そうして平安時代の結婚は「妻問い婚」と言って、男性が女性のもとを訪れるのだとも。 高校時代の古典教師は確かにそう教えてくれた。彼女が歌うような調子で、過去の助動詞「…

男子なら誰でも

Marvin Hagler vs. Thomas Hearns 1985 男子なら誰でも合法的に人を殴りたいと思ったことがあるはずだ。いや、ここで不要なジェンダー論を展開するつもりはない。 「人」は誰でも合法的に人を殴りたいと思ったことがあるはずだ。 俺の場合、いちばん安易に…

シュトルム『みずうみ』

俺に現代詩を教えてくれた先生は、ある時、授業の中での雑談でこんな話をしてくれたこともあった。ドイツ語がぺらぺらで、授業は、教科書を使わず、カフカの「変身」と戦後日本の「荒地派」っていう現代詩を読むっていう、今考えても風変わりな授業をしてい…

Tattoo you.

マルタでロシア人の子どもに(子どもと言っても高校生だけど)くるぶしのタトゥーを見せられたことがある。漢字だった。漢字だったが、全然意味の分からない、三文字が羅列してあるだけの漢字だ。 「俺の名前を掘らせたんだ。そうなんだろ?」 彼はそう尋ね…

優秀なカメラマン

高校生の頃、好きになった女の子に短歌を贈ったことがある。酒席の戯言にそう言うと大抵引かれる。引かれて笑われる。ま、それはそうだろう。 バイトもしていない、なけなしの高校生だった俺が精一杯の背伸びをして、「短歌を贈られたことがある女」の称号、…

明日は…

昔は、40歳なんてすごく大人で、ましてや50代、60代なんて遠い未来の話だった。そんな漠然とした印象の中で過ごしてきた。80歳以上の平均年齢なんて、なんでそんなに長く生きることが出来るんだろう。そんなことを考えたりした。 これは、思い出せな…

感謝とお詫び

ずっと分からないままでいたことが、ある瞬間、なにか天啓のようなものが訪れて、目の前の霧が晴れるように、長い夢から覚めるように「分かる」ことがある。「Mojo working 」の意味を急に理解するということもそうだ。 そればかりじゃない。そもそも…だ。 …

Paperback

白状しよう。 英語の本、いわゆるペーパーバックと呼ばれる本を初めて買ったのは、中学3年の時だった。ビートルズ詩集。その頃、神保町辺りの古本屋街を散歩するのが好きだった。今はもう閉店してしまったタトル商会に初めて足を踏み入れたのだ。 狭くてと…

ペシャンコにされても

『ペシャンコにされてもへこたれないぞ』という本がある。ナット・ヘントフという黒人作家のものだ。 ジャズの評論家でもあったナット・ヘントフには『ジャズ・カントリー』という小説もある。『ジャズ・カントリー』は、高校時代の友人が文庫を持っていて、…

漢文法基礎

こういう書名の本があることすら知らなかった。 ずっと絶版で、古本では高値を呼んでいたことも知らなかった。 それが講談社学術文庫で復刊されたことも知らなかった。 もっと早く知っていたら、ひょっとして俺の人生は変わっていたのかもしれない。 そんな…

コミさんから満鉄小唄

田中小実昌のことで、彼の名前が俺たちの中で話題になった最初は、月刊プレイボーイのロングインタビューで「包茎手術したらオナニーの時に遊びがなくなって困った」的な発言をしているのを読んだ時だ。 それまで田中小実昌という人は、コミさんコミさんと呼…

眠る

GWも結局は全出勤。 「怠け者の節句働き」という。怠け者に限って普通の人が休んでいるような時に働いているということ…なのか。いや、ことわざの意味の当否じゃなくて、俺の状態がそういうことだったのかという自問。 そんな自問も出てしまうし、これ以上起…